心地よい住まいに

片づけのきっかけになるお話しや、レッスン受講生さんのエピソードをご紹介しています。(2016年:週刊長野〈暮らし欄〉に連載)

1.おためし片づけ

数年前ブームになった「断捨離」。このブームをきっかけに、ものを減らし、片づいた住まいで快適な暮らしを―と、生活者の意識が大きく変わってきました。
さて片づけたいとは思うものの、やっぱり捨てられない、どこから手をつければいいのかわからない人もいらっしゃるのでは。そんなときは「おためし片づけ」から始めてみませんか。どこか1か所、とことん整えてみるのです。
おすすめの場所は、広過ぎず、またよく目に付く場所でテレビ周りなど。飾ってある思い出の写真はベストショットに絞り、飽きてしまった置物、役目が終わったお子さんのアニメグッズなどはこの際引退してもらい、現役だけを残します。仕上げに残したものの汚れをきれいに拭き取ります。ほこりが付きやすい家電品は裏側まで丁寧に。団らんの場所がすっきり整い、ご家族にもきっと喜ばれるでしょう。
取り除いたものは捨てたほうが良いのですが、決心がつかない場合は空き箱などに一時保管し、3日後に再チェックしましょう。整った部屋にはもう戻す必要がない、そう感じたら処分のサインです。
片づいた場所を見るとほっこりする、部屋が広くなったよう、そんな変化を発見すれば、おためし成功。片づけ上手への第一歩です。

*2016年11月26日掲載

2.「片づけられない人」返上!

「私、片づけられない人です!」と宣言し、片づけレッスンに参加されたAさん。たしかに、お住まいの写真を拝見すれば無秩序にものが溢れています。
レッスンプログラムに従い、毎日1か所、引き出し一つずつ棚1段ずつ、いらないものを取り除きながら整えていただくと、なんと2週間もしないうちに宣言を返上され、お住まいが見違えるように片づいていきました。
またBさんは家が狭く、増築を考えておられましたが、片づけ2カ月目、もので埋め尽くされ魔窟化した3畳の部屋が空っぽに。増築の必要もなくなり、空いた部屋を茶室にリフォームされました。
レッスンを受講されたご本人とお部屋の変容ぶりにはいつも驚かされます。このお二人には、いったいなにが起こったのでしょう。
実は片づけそのものは難しくないのに、漠然とした苦手意識が先行してしまうことこそがやっかいなのです。前回「おためし片づけ」をお勧めしたのは、この苦手意識、自分は片づけができないとの思い込みを解除してほしかったからです。
片づいた部屋は気持ちいい、ものが少ないと家事がはかどる、いらないものを手放すとこころが軽くなる。AさんもBさんもこの心地よさをご自身で体験され、片づけスイッチの「ニガテ」がオフ、「タノシイ」がオンに切り替わり、詰りが取れたように片づけが進みました。

*2016年12月3日掲載

3.片づけのボーナス効果

片づけをしてお部屋がスッキリ心地よくなっただけでなく、思わぬボーナス効果が表れた人のエピソードをご紹介します。
Cさんはまめに家事をするようになりました。片づけする前の掃除は、床に散乱したものをどかすだけで時間切れ。今は同じ時間で拭き掃除もできます。食材や道具が整理整頓されたキッチンでは、調理もはかどりメニューが増えたそうです。
毎日の家事が楽しくできるって、主婦にはとてもうれしいことですね。
Dさんは家の片づけをするうち、職場の机や書類の整理もできるようになり、いつのまにか仕事のミスが減っていました。
「後片づけ」はみなさん普段からされると思いますが、ここでお話しする「片づけ」とは「もの」との付き合い方を整理することなのです。自分の持ち物を総点検し、残すものと捨てるものに仕分けしていると、しだいに育つ選択力や整理力、これが片づけ力ともいえます。
Dさんはこの片づけ力が生かされ、お仕事にも良い影響があったのではないでしょうか。
人との付き合い方が変わったEさん。誘われれば必ず出席していた集まりも、今はお断りすることもあるそう。モノだけでなく、コトの整理もできるようになったのですね。
ボーナス付きの「片づけ」、やらないほうがモッタイナーイ!

*2016年12月10日掲載

4.キープもかんたん片づけ

片づけてもキープが大変では長続きしませんが、ものに決まった住所があれば、使ったら元に戻す後片づけがとても楽になります。
とはいえ、住所がごちゃごちゃの状態では覚えにくく、誤配や迷子が増えるばかり。ものの住所は一つ一つではなく、グループごとに定めることで、まさに○町○丁目○番のような住所になります。
「おためし片づけ」でテレビ周りなど見えている部分を整理したら、次は収納の中を整理しながら、手順に沿ってグループ分けの練習をしてみましょう。
収納からものをいったん全部出し、グループに分類します。分類しながらいらないものが見つかれば処分し、グループごとに収納に戻します。
グループ分けの例として、テレビ周りであれば、まずはざっくりと①DVD・CD②本・雑誌③日用品、プラス④その他、といったように。さらに①や②はジャンル別、③ならアイテム別に分けていきます。
分類するとものの住所が定まるだけでなく、何をどれだけ持っているか、また不要なものが何かがはっきりしますから、「残す」と「捨てる」の選択が早くなります。分類することで頭の中も整理されるからです。
グループ分けは前述の参考例から始め、家族全員がわかりやすいようカスタマイズできれば、あなたも片づけ術自分流の家元です。
すっきり片づいた心地よい住まいで、新しい良き一年を迎えられますように。

*2016年12月17日掲載

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