片づけの秘訣

部屋別に片づけポイントをまとめました。(2018年:週刊長野〈暮らし欄〉に連載)

1.玄 関

片づけの秘訣を場所別にお伝えします。1回目は、みなさまの人生を象徴する家の顔、「玄関」です。
「わぁ~、なんだか素敵ね!」と、人が思ってくださる玄関だと、人のみならず、「福」もはいってきやすいかも、ですよ。
まずは収納から。靴などをすべて出し、中を空っぽに。履いていなかったり、磨くことを面倒に感じる靴は処分します。「靴」を「前進するための道具」と捉え、新年に靴を整理すれば、この一年もはつらつと過ごせそうですね。
残した靴を収納に戻す前に、ついでに中も拭き上げてしまいましょう。見えない場所もキレイにすると、想像以上にスッキリを実感できますよ。
清潔で余分なものがなく、拭いて光らせた玄関、仕上げに「香り」をまとわせましょう。自分が満足する、素敵な香りを選んでください。玄関の臭いが気になる場合は消臭してから。消臭効果があるコーヒーかすをきれいな布で包み、リボンをかけて置けばインテリアにもなります。
人をお招きするとは、自分たちの幸せをおすそ分けすること。一期一会のおもてなしをする旅館では、玄関のしつらえを一番大事にしているそうです。
人だけではなく、福も、そしてあなた自身を、磨きあげた玄関に迎えてもらいましょう。

*2018年1月13日掲載

2.居 間

「福」も喜んで入ってきてくれるように玄関を整えたら、次は「居間(リビング)」です。
居間とは、文字通り「居る」「間」であり、家族だけでなくお客様も福も、心置きなくくつろげる「集いの場」と捉えましょう。
少し難しい話になりますが、「くつろぎ」には、皮膚感覚や触覚が大切です。椅子や座布団に座ると、体が何かに触れますから「触覚、手触り」にまで心を配り、違和感、異物感がないように拭きあげましょう。
拭きあげたら目を閉じ、実際に座ってチェック。OKなら目をあけ、「壁」を見てください。その壁を一枚の絵画に見立てて片づけをすると、見違えるほど部屋がおしゃれになります。
やり方は簡単、座ったまま、並んでいる家具などのシルエットを、一筆書きのように指でなぞってみます。バランスが悪いと感じたら、家具の配置を変えてみましょう。
インテリアの決め手は「引き算」すること。壁に掛けたものや置物などを減らすと、「壁」そのものが生きてきます。
少しものたりないぐらい余白があってよいのですが、お好みで観葉植物か照明スタンドを足すのもいいですね。
あとは、みなさまの団欒が部屋を満たせば、世界に二つとないliving(生きていく)の完成です。

*2018年1月20日掲載

3.洗面所・トイレ

洗面所とトイレは、舞台に上がる前に身支度をする「楽屋・パウダールーム」と捉えましょう。リビングでくつろいだ「福」が、「ちょっと貸してね」と言っても慌てなくて済むようにしたいですね。
いらないものを捨て拭き上げることは玄関やリビングと同じ。ものが多い洗面所では整理整頓がかなめとなります。
整理とは分類すること。洗面化粧用品は「身を整える道具」、洗濯用品は「作業のための道具」、この二つの要素がごちゃまぜにならないよう住み分けを意識していただきたいのですが、広くはない洗面所では工夫が必要でしょう。洗面台に立った時、鏡に「作業」の要素が映り込まないようにしてみてください。そう、鏡はそのままあなたの肖像画です。
整頓とは、指定席を決め、形をそろえて収納すること。形のそろえ方はリビング編のお絵かきを応用してみて。
トイレにものは少なめですが、掃除道具など雑然としがちです。素敵なレストランなのにトイレが雑然としていたら、気どらないお店のトイレがピカピカだったら。ここはあなたの印象を左右する場所かもしれません。
パウダールームと変身した洗面所できちんと身なりを整えれば、体は元気、気分はアップ、今日も素敵な舞台に上がれそうですね。

*2018年1月27日掲載

4.キッチン

このコーナーが始まってから3週間、片づけを進めてきた方は、「めんどくさいことから取りかかる」というのが秘訣だとわかってきたのではないでしょうか?
夏休みの宿題と同じですが、もしかしたら、これ、人生の秘訣なのかもしれませんね。
今回は、その秘訣をキッチンの片づけに用いましょう。料理好きにはお城のような場所、そうでなくても暮らしには欠かせない場所です。
水を使うシンクを「水まわり」、火を使うコンロのあるところを「火まわり」、シンクとコンロの間の調理するスペースを「まな板まわり」と捉えます。水切りに使うザルやボウルはシンクの下に、煮炊きに使う鍋、フライパンや焼き網などはコンロの下に、包丁や計量器具などの調理道具は調理スペースの下に、出番の少ないものは奥の方に収納しましょう。
キッチンにはたくさんの物があります。キッチンによっては収納スペースが固定されている場合もありますが、「作業と場所を関連付けて収納する」を念頭において整理すると、調理作業から後片づけまでスムーズになります。
料理は魔法。その魔法で家族を笑顔にできれば、キッチンは「魔法のお城」にもなりますね。
笑う門には福来たる。
よい節分を!

*2018年2月3日掲載

5.クローゼット・まとめ

最終回の片づけはクローゼットです。クローゼットは楽屋の一部、「衣裳部屋」です。
単なる服と考えず、一歩外に出たら待ち構えている人生の舞台のための「衣裳」と捉えましょう。
フォーマルなものだけが衣装ではありません。カジュアルなものも、ラフなものもルームウェアも、パジャマすらも映画やお芝居で使われるものはすべて「衣装」なのですから。
なので、今持っている服が、自分を快適にしてくれるものでなかったり、気に入らないまま着てるのであるなら、ここは潔く処分してしまいましょう。
迷いがあるものは、保留にせず、お譲りできるものはお譲りし、できないものは雑巾にするとか、油を吸わせる布にするとかして、思いきってさよならしましょう。
目指すのは、「開けるだけで楽しくなるクローゼット」です。「衣裳」だけになると、開けるだけで楽しくなり、服選びも楽しくなりますよ。
あなたにふさわしい服、あなたの心を豊かにしてくれる服は、「福」を呼ぶアイテムなのです。

この記事が、人の生活の基盤である衣、食、住を整える機会となり、そこからますます豊かに生きられるきっかけになることを心から祈っております。
どうか、おすこやかに!

*2018年2月10日掲載

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